国指定名勝 戸定邸庭園
名称:国指定名勝 戸定邸庭園
所在地:千葉県松戸市松戸
面積:約 6,000 ㎡
発注者:松戸市教育委員会
期間:2015~2018年
分野:公園緑地
受託内容:基本設計・実施設計・設計監理
ランドスケープ設計:HEADS TOKYO
アドバイザー:千葉大学名誉教授 藤井英二郎氏
設計協力:株式会社クレアテラ
施工:アゴラ造園株式会社
受賞:
・2022年ランドスケープコンサルタンツ協会賞優秀賞(設計部門)(一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会)
・第39回都市公園等コンクール日本公園緑地協会会長賞(設計部門)(一般社団法人日本公園緑地協会)
作品掲載:
・『広報まつど』2018年5月15日号 No.1609,松戸市
・『LANDSCAPE DESIGN』2023年4月号 No.150,マルモ出版社
本業務は、国の名勝指定を受けたことを契機に実施される、戸定邸庭園の復元のための基本設計と実施設計、そして設計監理を行ったものです。
この戸定邸庭園の復元は、この庭園をつくった徳川昭武らが撮影した作庭当時の大量の写真や残された文献を根拠に実施することを基本としていましたが、庭園の図面がないことや写真の撮影場所の記録がないこと、作庭時と同じ材料を使用することは困難であることから、古写真に写っている作庭時の姿に似せた形にするのではなく、本庭園の本質的な価値を見出し、この価値を復元することを目的としました。
この本庭園の本質的な価値の復元の方向性については、本業務の実施前から2人の研究者(現・戸定歴史館名誉館長:齊藤洋一氏、現・千葉大学名誉教授:藤井英二郎氏)の研究により、取りまとめがなされていました。
このような前提を受け、本業務では設計者としての視点に基づいた庭園復元のための手法の提案を行い、共同研究者ともいえる立場で2人の研究者との議論を重ね、机上と現地での検証を経て、復元を実現するための工事用図書を作成し、工事段階において設計監理を行いました。
この「共同研究」についてですが、業務としては「共同研究」ではありませんでしたが、今回の応募に当たって発注者に古写真等の使用の承諾を求めるために行った打合せの場で、発注者より今回業務での設計者の立場は「設計者としての知見、技術、思考を庭園の復元にフィードバックした共同研究者」であったとの評価を頂いており、この「共同研究」が本業務の特色と言えます。
なお、復元工事の際の設計監理業務については、不要な樹木等の伐採や移植、造成など、現況が変化していく過程でも復元内容を検討し続けることが重要であると考え、設計者が発注者に提案して受託したものです。
また、戸定邸庭園内の樹木の移植を行うことから、根回しのための時間が必要となるため、工事を2箇年に亘って実施することも発注者に提案し、より良い復元工事とすることを目指しました。